徒然演奏記

気が向いたら参加した演奏会の感想や記録でも

フィガロ王立管弦楽団(2019/1/26)・吹奏楽団(2019/4/13)

 4月13日に開催された「フィガロ王立吹奏楽団(フィガロ吹)」の冒険からおよそ一か月という時間が経過した。1月26日に開催された「フィガロ王立管弦楽団フィガロオケ)と合わせて二つの演奏会に参加したことと演出面に大きく関わったということもあり、たまには慣れない筆を執って、感想でも書いてみようと思い始めてからも早1か月…

 せっかく書き起こしたものをそのままとしてしまうのも何かもったいない気がしますので、とりとめない一個人の感想とはなりますが、それでもよろしければ、お付き合いいただければ幸いです。 

 

 

フィガロオケ参加へ

 

 FF6の企画演奏会が開かれる、ということを知った時、これは何が何でも参加したいということでエントリーした。さすがに超人気タイトルの演奏企画ということもあって全パート人数超過&受付期間短縮。普段であれば、比較的心配なく乗ることができるヴィオラを選んでいても、今回ばかりは参加できるか不安なものであった。

 

 無事に参加が決定し、練習が始まった。演奏面については基本的には気楽なものだった。トップをはじめとして他の企画でおなじみの人たちも多く、みんなで楽しく憧れの曲を演奏できる喜びに浸っていた。

 

セッツァーになったわけ

 

 発端は2018年末の最終練習後に開かれた忘年会であった。このころになると、演出面の話も進み始めており、コンマスエドガーをやるということも話が出てきていた。

忘年会は二次会に突入したところで、主催のトモさんとの会話の中で私が過去の別企画で使用したことのある銀色のウィッグがセッツァーに使えそうだよね、という話になった。

 年は開けて1月12日。トモさんから正式にセッツァーをやらないかという連絡。半ば覚悟はしていたものではあったので即決。

 とはいうものの本番までは残り2週間。今現在でコスプレ人気の高いキャラクターならば、出来合いのものを調達する、という手もあるけれど、今回の役は25年も前に生まれたキャラクター。自分の手で生み出すしかないということで製作が始まった。

 衣装を着るからには当然ながら演出もついてくる。セッツァーの演出は、オペラでのマリア(セリス)誘拐の再現。そうはいってもプリマ・フィガロの皆さんがやってくる練習は限られるし、何より、普段の練習時の会場の広さでは動きを練習するわけにもいかない。イメージトレーニングで動作を考えていたところに、トモさんからさらに追加。「墓碑名で黄昏れてみて。」

思案の日々は続く…

 

 衣装を作ろう!

 

 即決でセッツァーをやると請け負ったものの自身のコスプレ経験は、以前トモさんの企画でやっただけの初心者。その時も衣装の作成からやってはいるもののノウハウなどは特にない。限られた時間内でそれらしい見た目にするためには何をどうするか。それだけで製作に臨む大博打であった(まあ、セッツァーだしね。)

 特徴的なロングコートは時間的にも技量的にも原型は既製品を用意するしかないと判断し、捜索開始。探し初めて数日。ようやくお値段的にも見た目的にも許容範囲のものを発見。

 念願のコートが届いたのは本番一週間前。そこから天野絵やDFFOOのイラストを参考にしながら突貫工事で作業開始。見えるところ優先ということで、裏側とかの処理は一切できなかったけれど、本番当日の午前2時過ぎ、何とか体裁は整ったと思えたので終了。

(本番前日早く寝るようにML出していたトモさん、ごめんなさい~)

 

なお、よくわからない肩のパーツやアクセサリー類は演奏に干渉するので最低限度に。

 

開演

 

 どれだけ寝たのかよくわからなかったけれど、当日の朝がやってきた。完成したばかりの衣装その他をスーツケースに詰めて新宿文化センターへ出発。リハーサルではオルトロスに邪魔されて袖に捌けられないとかいろいろあったけれど、順調に本番までの準備が整っていった。

 プレコンには参加しないので、衣装を整えた後は撮影用に持ち込んだ大判のトランプ片手にのんびりと他の奏者の皆さんと記念撮影。

 そんなことをしている間に時間は過ぎていき、ついに開演時刻に。コスプレ奏者も関係なく一般的なヨーロピアンスタイルで入場するという形であったため、Fgを持ったモグが入場した瞬間に客席にどよめきが起きる。続けてリルムやマッシュ、ティナと続々と入場していき、どよめきが広がる中、自分もセッツァーとして舞台上へと進んでいった。そして、コンマスエドガー陛下によるチューニング、指揮者のロックが入場して演奏会の幕は開けた。

 

演出って難しい

 

 第一部はあっという間に終わり、いよいよ第二部の目玉、オペラの時間がやってきた。まずは失敗バージョンのアリアで観客席をバッチリ掴んでからオペラ本編がスタート。柄にもなく緊張を感じながら弾いているうちにあっという間にオルトロスが落ちてきて、「大団円?」。

 そこからは何をどのように弾いたか、もうよくわからないけど、曲の終わりに合わせて楽器を置いて立ち上がる。段取りで決めていた通り、喝采を上げる客席を手で制しつつ所定の位置へつく。客席から戸惑いと何となくの期待感を感じつつ、手を振りかぶり

 

「まちな!!! 素晴らしいショーだったぜ!!」

 

 演奏中から感じていた緊張、満員の客席に対して無理やり声を飛ばそうという余計な意識が相まって、その声は自分でも拍子抜けるような変に上ずったものだった。沸き起こる笑いと喝采。あとは続けるしかない。目の前に倒れているラルスとドラクゥを飛び越えて、マリアをさらい、そのまま舞台裏を抜けて上手へ。

 練習段階でそのまま戻って演奏復帰というのはしっくり来なかったので、トモさんに提案し、舞台端でこっそりとコイントスをして再び奏者へと戻る。

 世界は崩壊し、第三部。問題の墓碑名での黄昏れ演出がやってきた。いざその時となってもどうすればいいかはわからない。でも、この曲でセッツァーが佇む、そのことに意味があると信じて、ただ黄昏れた。演出とは難しいものだ。

 あとは演奏するだけ。奏者としての思いと登場人物としての思いを重ねながら、演奏会の最後まで弾き切った。普段の演奏会とは何か異なる達成感がそこにはあった。

 

 ロビーでのお見送りは想像以上のものだった。演奏会を聴きに来た初対面の人にツーショット写真をお願いされたり、握手求められたりするなんて経験は初めてだった。

 演出から派生して主にTwitter上で「待ちな先輩」という言葉が広がったりした気はするけど、それはそれとして。フィガロオケの話はここまで。

 

久しぶりの吹奏楽

 

 クラリネットを吹いていたのは高校の吹奏楽部時代。大学以降はヴァイオリンやヴィオラで活動しており、クラリネットを持って外の楽団に参加するというのは今回の演奏が初めてであった。

 オーケストラのエントリー時の反響によって開催が決定したフィガロ吹。多くのパートはオーケストラから漏れたメンバーを中心として席は埋まっていったが、編成の大きさとかかる負担の大きさから、クラリネットは募集人数がとても多く、昨年12月の時点でまだ最後の1席が残ったままとなっていた。

 吹奏楽コンマスをされたまつさんとはこれまでいくつかの企画演奏会でご一緒しており、過去にクラリネットを吹いていたこと、機会があればまた吹きたいという話をしていた。そんなこともあってか、12月のある日、まつさんからもしよければ参加しませんか、と声を掛けられ、吹奏楽の世界へと久しぶりに戻ることを決めた。

 エントリーが受理された次の週末がちょうど練習日。譜面を急いで用意し、とりあえず最低限音が出せるくらいまで勘を取り戻して練習会場へ。譜面を目は追いつく。しかし、運指は咄嗟の時には思い出せず、何よりも吹くという動作への体力はすっかり衰えていた。

 時間を見つけて少しずつ吹いてリハビリをしていき、どうにか、少しはまともに演奏できるようにまで戻ったころ、改訂版の譜面が出された。改訂版というよりむしろ、オケの反響を受けての曲目の大量追加であった。これでは、体力的にまだまだ足りない。かくしてリハビリは続く。

 

セッツァー再び

 

 オケの公演後、練習会場は当然ながら演出の話で持ちきりだった。そんな中で聞かれるセッツァー続投について。ちょっとだけ悔いの残る演出に対してリベンジができるし、せっかく作った衣装がもう一度日の目を見る。迷うことなく再びセッツァーとなることを決めた。

 演出については、基本的にはオケの時と同様。しかし、前回、マリアをさらった後、こっそりとコイントスしていた箇所が、今回はセリス役が舞台上にいることに伴い、舞台前面での演出に変更となった。しかも、オケの時にはエドガー陛下専用演出だったコイントスのSEも追加され、コインを投げるタイミングまで詳細に指定された。説明を聞きながら、楽譜にセリスとセッツァーそれぞれのコイントスのタイミングを書き込む。

 しかし、実際の演出時はそのかなり前から楽譜を見ることができなくなるため、結局自分がコインを投げるタイミングは覚えるしかない。思いもよらぬ暗譜必須ポイントの発生である。投げるポイントを頭に叩き込んだら、あとは体を動かしてシミュレーション。

 

衣装を改良しよう!

 

 オケの時に突貫工事で作ったコート。正直なところを言うと、つくりに不満はあったので、イメージができているところで、一回分解してきれいに作り直したい。しかし、それをやるだけの材料と何よりも一度分解して作り直すという気力が足りていなかった。そのため、コートについては手を加えることは断念。

 演奏時に必然的に身体を動かさなくてはならない弦楽器と異なり、クラリネットはほとんど動かずに演奏が可能である。また、楽器も咥えて正面に構えるだけであるため、演奏にあたって衣装はほとんど干渉することがない。それならば、今回はオケの時に省略した肩の装飾やアクセサリーを中心に追加するということで作成を開始した。

 装飾が増えたためか、オケの時と比べて、それっぽさが増した気はした。

  

エドガー陛下(吹)のオフショット

 

 そして、演奏会当日。会場に到着して楽屋へ向かうと、先に到着していたエドガー陛下(吹)ことタツキさんの大量の荷物。中からお菓子(FIGARO)やらティーセットやら回転のこぎりの部品やら「待ちな」と書かれた額縁やらいろいろな小道具が出てくる出てくる。着替えると、さっそく額縁を持たされ、撮影開始。用意がいいというのかなんというか…

 開演前の休憩時間もその勢いはとどまるところを知らず、エドガーとマッシュのお茶会など、開演前の時間はあっという間に過ぎていった。

 

素晴らしいショーだったぜ

 

 当日のステリハでは、最初で最後の本番想定での演出の立ち位置等確認。マリアをさらうシーンは立ち位置は前回と反対ではあるけれど、やること自体は変わらないので問題なし。追加された演出は、所要時間を計算して立ち位置を確認。コイントス演出もバッチリうまくいったけど、本番ではどうなるかはわからないので、念のため、手首に予備のコインを仕込んでおくことにした。

 いよいよ本番開始。入場はオケの時とは異なり、通常衣装の奏者が先に入り、コスプレ奏者は後から一斉入場。特に段取りは決まっていなかったので、入ったら、ステージ前面に並んで一礼ということを急いで決めてみんなで入場。自席で先に待っていたオケの時にはいなかった相棒、ミシディアうさぎを一撫でして演奏が始まる。

 そして、今回も第二部、というかオペラの時間がやってきた。まずはお約束(?)の失敗版。オケの時とは異なり、ゲームオーバーまでしました。レスト・イン・ピースが流れる中、拍手と笑いが巻き起こるというのもなかなか不思議な光景。

 そこから改めてオペラ本編スタート。あっという間に「大団円?」が終わり、出番がやってくる。客席に手を翳すとピタリと止まる歓声。客席からは戸惑いの様子はほとんどなく、ひしひしと伝わってくる期待感。前回との違いを全身で感じつつ、手を振りかぶり

 

「まちな!!! 素晴らしいショーだったぜ!!」

 

 セリフを言うや否や、というかセリフを食い気味で巻き起こる歓声。少なくとも、今回は変に上ずることはなかった。そもそも自分の地声から考えても、CV 置鮎龍太郎な魅力的なボイスを出せるわけもないので、ベストは尽くしたのだと思う。演出は続く。目の前にはまたしても倒れたままのラルスとドラクゥ。迷いなく飛び越え、マリアをさらって舞台袖へ。

タイミングをみて舞台上へ戻り、所定の位置へつく。そして、セリスの手からコインが投げられる。コインは舞台の縁をかすめ、客席へ。自分のコイントスまでの時間は想像以上に短い。迷わず落下地点の近くに屈み、拾う動作をしながら手首に仕込んでいたコインを取り出したのち、コインを投げる。SE担当がバッチリ合わせてくれたこともあり、完璧なタイミングだった。

やり切ったという感慨に浸りながら、席を外している間に椅子を乗っ取っているミシディアうさぎを下におろし、演奏に戻る。

 

そして今回もやってくる墓碑名。2回目だから慣れている、なんてことはなく、やっぱりどうすればいいかなんてわからない。それでも、感想を見る限り、前回の演出は客席に伝わっていたということを心の支えとして、精一杯佇み、そして黄昏れた。それがどのような姿であったのかは客席の皆様のみぞ知る。

 

蘇る緑

 

パーティメンバー全員集合までは叶わなかったものの、多くのキャラクターが舞台上にそろった吹奏楽公演。各キャラクターのカーテンコールとも言える蘇る緑にもそれぞれ演出が追加されることとなった。大きく分けると、エンディングを再現するか、そのキャラクターらしいアクションを行うか。セッツァーは後者ということで、例えば、カードを投げるとか…という指定であった。

百均でトランプを買い、家の中で一枚ずつ投げてみる。たまにまっすぐきれいに飛ぶのだが、多くの場合、ひらひらとすぐに落ちてしまい格好悪いことこの上ない。それならばと思い3枚を重ねてテープで止めてみたところ、だいぶ安定して飛ぶようになった。ただし、攻撃力もかなり上がってしまっており、客席側に飛ばないようにするのは当然として、勢い余ってホールの壁にぶつけるのもよろしくない。投げる方向と力加減が大切であった。

そして、ついにエンディング、蘇る緑が始まった。刀を振るうカイエンに続いて、出番がやってくる。立ち上がり、カードを顔の前に構えてポーズを決める。そして、花道の方向へ向かってカードを投げる。少し角度が悪かったため、失速は早かったけれど、多分客席から見ればそんなに違和感なく投げられたはず。自分のかかわる演出はこれですべて終了。蘇る緑・プレリュードとアンコール、残りの時間はあっという間に過ぎていった。

終演後はもちろんお見送り。相棒、ミシディアうさぎと「待ちな」額を手に他のコスプレ奏者と一緒にロビーへ…

 

 二つの演奏会を通じて、多くの方々にお世話になりました。ブラボーフィガロ

  是非、また、どこかの演奏会でお会いしましょう!

 

 

 

でも、やっぱり今回の締めはこれか 

「まちな!!! 素晴らしいショーだったぜ!!」